精神疾患とその治療
『統合失調症、気分障害の病態生理、治療予後についてテキストを中心にまとめ、精神保健福祉士としての関わりを考察しなさい。』
統合失調症とは、主として思春期、青年期に発症し、人格、知覚、思考、感情、対人関係などに障害をきたす脳の疾患である。かつては、精神分裂病と呼ばれていたが、誤解や偏見を助長していることなどから2002年に統合失調症と名称を改めた。
生涯有病率は0.7~0.8%で、世界各国でほぼ一致し男女差もない。生物学的原因には未だ定説がないが、ドーパミン過剰仮説は有力なひとつである。しかし、陰性症状に対する治療効果等の面からの批判があり、他の神経伝達物質のバランスの崩れなどの影響もわかっている。実際には、神経発達の異常や個体の脆弱性、ストレスなど多くの要因が絡み合って発症に至ると考えられている。
症状は、陽性症状と陰性症状に分けられる。陽性症状は、幻覚妄想、滅裂思考、興奮、奇異な動作など、外から見て明らかに正常ではないとわかる症状で、陰性症状には、感情鈍麻、会話の貧困さ、意欲低下、無為、自閉など外から見てはっきりしない症状がある。
発症後数か月~...