問１
　たくさんの生産者と消費者によって、自由な競争が行われる市場のことを完全競争市場という。完全競争市場では、①市場に多数の参加者（生産者や消費者）がいること、②財（商品）の質が同じであること、③財に関する情報（価格や特性など）を参加者がもっていること、④市場への新規参入や撤退が自由であること、という４つの条件を満たすと仮定している。
　消費者や生産者が与えられた価格のもとで最適な選択を行おうとする限り、需要量と供給量とが等しくなるプロセスが市場メカニズムであり、消費者や生産者の自由な意思決定の結果であり、誰かに強制されて到達した結果ではない。さらに、ひとたび需要量と供給量とが等しくなると、その価格のもとでは総ての消費者が効用を最大にしているし、総ての生産者が利潤を最大にしている。この状態が市場均衡である。市場均衡では、需要量と供給量とを一致させる価格（均衡価格）が決まり、個々の消費者の需要量や生産者の生産量も同時に決まることになる。
　あらゆる財の市場において、ここで説明した市場メカニズムが働いて需要量と供給量とが等しくなれば、社会全体であらゆる消費者や生産者が最適な選択を行ってい...