道徳教育の研究
【1単位目】
(1) 人間が人の間に生きていく存在としてもっとも好ましい生き方を身につけていくためには教育が必要である。その教育は、人間はいかに生きるべきであるかを教える教育であり、人の間に生きる存在として、いかに人との関係を好ましいものとして保っていくかというのが問題となるのである。これを解決するには、必然的に自己の行動を制約することになる社会的規範が必要となってくる。もちろん、その規範は守られるべきものとして存在する。つまり、人間はいかに生きるべきか、という課題は、人を必然的に行動の規範を求める道徳の世界へ導くのである。したがって、人間はいかに生きるべきかを教える教育は、本来的に道徳教育であるということができるのである。
続いて道徳教育の必要性であるが、これは2つの側面から論じていきたいと思う。まず、本来的必要性である。そもそも人間は他の動物と比較した時、誕生の時点できわめて能力が低く、多くの保護的助力を周囲から受けなければ生命を維持することもままならないのである。その人間が成長していくには、他者の存在を意識できるかどうかに関わってくるのである。人間は徐々に他者の...