「地域の教育力」「家庭の教育力」が低下している、と語られることは多い。しかし、その実相は単純な下り坂ではない。ボランティア参加や近所付き合いといった社会関係資本を示す指標の一部は長期的に弱まり、家庭の側でもデジタル機器の浸透や共働き化の進展が子育て行動を変えている。一方で、コミュニティ・スクールやこども食堂の広がりなど、「地域が学校・家庭を包摂する新しい仕組み」はむしろ拡大している。本レポートでは、公的資料と大規模調査をもとに現状を整理し、私見を述べる。
まず地域の教育力を測る一つの窓として、市民の地域貢献行動を見る。総務省「社会生活基本調査」によれば、過去1年にボランティア活動を行った人(行動者率)は2016年の26.0%から2021年に17.8%へと8.2ポイント低下した。性別でみても男女ともに低下しており、地域で「支える大人」の裾野が一時的にやせたことは確かである。感染症流行期の影響を勘案しても、地域の自律的活動基盤が脆弱化しやすい現実を示すデータだといえる(統計局)。しかし同時に、制度化された「地域—学校」連携は量的に拡大している。
文部科学省の2024年度調査では、学校運営...