① 本レポートでは、学習の中で関心をもった領域を２つあげ、それぞれにおける心理臨床の特徴についてまとめる。まず産業領域について述べる。職場における生活時間は、日常生活の中でも大きな割合を占めており、現代社会を生きる私達にとって、職場のメンタルヘルスの重要性が認知されている。現代の日本における働く人々の労働環境は、テクノロジーの普及と共に知能労働を求められ、メンタルに問題を抱える人の割合が増えている。厚生労働省が２０２２年に発表した「令和３年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は53.3%となっている。その内容をみると「仕事の量」が43.2％ともっとも多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が33.7％、「仕事の質」が33.6％となっている。これらは、調査対象の半数以上が仕事や職業生活に対する強いストレスを感じていることがわかる。また、産業領域の悩みは、ハラスメントや職場の人間関係、過重労働などの仕事に関するものから、離婚や親の介護などの家族に関する悩みまで多岐にわたる。こうした背景から、...